福本からのメッセージ

これからのホームインスペクション

もともとは中古住宅の購入検討材料として劣化状況を把握する為のホームインスペクション。(住宅ストック流通の為の住宅診断、買主への情報開示が目的)
中古住宅売買前に買主サイドからの依頼が多いのが現状でしたが、平成30年の宅建業法の一部改正から少し変化がみられています。『住宅診断の有無』という項目が重要事項説明書に盛り込まれましたが、インスペクションに対して宅建業者が消極的な為、期待されたほど普及していません。また既存住宅状況調査技術者が増えたことにより依頼が分散され、本来の中古住宅のインスペクションの依頼件数は減っているのが現状です。
これからの中古住宅時のインスペクション普及の鍵を握るのは宅建業者以外にありません。 それとインスペクターの質も問題です。最低限のことをまともにインスペクションできる人を教育するシステムの構築も必要です。診断内容のばらつきは問題であると思います。
まともなインスペクターをどう選べばいいのか?消費者サイドも勉強が必要です。

現状最も多いご依頼は、築浅物件の不具合診断です。新築引き渡し直後から築後3年程度の物件。引き渡されてからの心配(例えば基礎のひび割れ)で業者に見てもらっても『これはよくあることです。』『こんなものです。』と言われても消費者の不安は払拭されません。
ご依頼を頂きインスペクションしてみると、『欠陥』と呼べる重大な瑕疵が見られることが大変多いのが現状です。
建物を建てるという重責を担う建築会社、ほんとうに責任感のない業者が多すぎて驚きが隠せない時が多々あります。建築の知識(構造、仕様、施工、工程、仕上げ)は当然のことながら、各工程でのチェック、最終引き渡し時のチェックまでしている業者がどれくらいいるのか?当たり前のことですが、それを行うのが現場監督です。無資格名前だけのお飾り監督ではありません。チェックを行い問題があれば補修して引き渡すのが当たり前。それをやっていないから私のところに依頼が来るのです。
どうか、新築住宅(注文、建売)を建築購入された方は、是非引き渡し前の内覧会でインスペクションを入れて不具合がないかを確認して下さい。注文住宅でも必要なの?と思われるかもしれませんが、信頼があれば不要かも知れません。引き渡し前ならまだ対応してくれて何とかなります。引き渡された後では適当にごまかされてしまう可能性が高いです。今までたくさんそういう現場を見てきました。

どういう形であれ、インスペクションはこれからの時代とても重要な役割を果たすサービスとなるでしょう。時代の流れから考えても間違いはないと確信します。売買時だけでなく自宅メンテナンスにも有効的なインスペクション。業者の言いなりにならない為にもお抱えインスペクターを持つ時代です。

一流の精巧な技術で皆様の満足にお応えする本格工務店として

私は以前旅行業というサービス業の世界におりましたが、その仕事に対しプロ意識というものがあまり感じられませんでした。旅行の知識というと、交通手段は何かまたどのような時間帯があるか、どこのホテル(旅館)の設備がよく料理がおいしいか等、一度行けば分かるような知識が主でした。ですから、自分自身が行った事がない場所に関しては事前に調べますが、お客様の方が詳しい時も多々あり逆に教わる事もありました。また旅行は『全てうまくいって当たり前』の性質をもっており、少しでも不快に感じることがあればその旅行自体がダメになってしまうのです。ですからお客様に満足を与える為に細心の注意を払い、極めたサービスを提供する必要がありました。

建築業界に移った時に強く感じたことが2つありました。一つは業務知識の難しさ。旅行のように一度では理解できない知識です。観点を変えれば知識を身に付けることができれば、旅行業界の時に感じられなかったプロ意識が持てるということでした。
二つ目は業界自体がいい加減だということ。どういうことがいい加減なのか?それは多々ありますが、仕事の対する責任感のなさ、お客様との約束を平気で破る、見積のいい加減さ、知識のごまかしなど、数えきれないほどあります。皮肉なものでこの点においては旅行業界にいたときの方がはるかに良いと感じましたし、既にそれを身に付けた自分がいました。

初めから建築業界にどっぷりはまらず、違った視点を持った私がこの業界に来てまず考えたのは、知識の習得をすれば新しい対応ができるということでした。建築士の取得及び、現場での作業による現場知識。資格の知識は直接現場施工には反映される事はありません。やはり施工を知らないと全体を把握する事は不可能です。

この2本柱を家の大黒柱と喩え、あとはまわりを固めていこうと決めました。まわりにあたるのは営業力と技術力です。営業力は私次第ですが、技術力はやはり素晴らしい職人さん次第です。よい職人さんを選別する目も養わなくてはなりません。よい職人さんを探し協力してもらう事は恐らくはお客様を探す事より難しいと考えます。そして考えていた体制が形になり、『一流の精巧な技術で皆様の満足にお応えする本格工務店』という文言をつけました。この言葉に恥じることなく常にお客様第一に考え、一流の仕事を続けていくために。これからも貪欲に知識を習得し、満足のいくサービスと技術を皆様に提供できるよう努力してまいります。

株式会社建組 代表取締役 福本 智