家の知識:新築編 [ はじめに ]
家を建てることは、消費者の皆さんにとって恐らく人生において最も大きなイベントの一つではないでしょうか?
建て主としても念入りに色んな計画をして準備する必要があると思います。
今お住まいの土地で建て替える場合はいいとして、新たに土地を購入をして建てる場合は相応の予算が必要になります。建てる土地が決まればその土地の形状から家の形や間取りを検討する必要があります。
大きな買い物なのである程度のことは業者任せにせずご自分で計画されることをお勧めします。業者選びも情報収集をしてしっかり行う必要がありますね。大手に依頼するのか、地域密着の工務店に依頼するのか。建てる時だけでなく、これから先のことも頭に入れて選ぶ必要があります。
工事が始まったらできるだけ小まめに現場に出向いて、工事の内容を見て職人さんとも触れて下さい。現場の雰囲気を見ることも大切なこと。その雰囲気で工務店の良し悪しも分かるものです。また人と人とのふれあいによって念入りな工事をしてもらえることに繋がるのではないでしょうか。
家の知識:新築編 [ 地盤調査 ]
平成21年10月より「住宅瑕疵担保履行法」によって、新築住宅の工事請負人・売主は瑕疵保証のための資力確保措置が義務づけられました。瑕疵保証は住宅の安全を保証するものである為、履行のためには地盤調査が不可欠であり、建築施工業者は住宅を建てる際に地盤調査が義務づけられることになりました。
一般的に木造住宅の場合、スウェーデン式サウンディング試験という調査を行いますが、それまでに近隣地盤データの収集や土質確認をしておく必要があります。
この試験により建築基準法規定値(許容地耐力度)を満たしていない場合は、地盤改良工事を行い地盤耐力を確保する基礎計画をすることが重要です。
家の知識:新築編 [ 地鎮祭 ]
地鎮祭とは建築の起工に先だち、その土地の神を祭り工事の無事を祈る儀式です。とこしずめの祭り、土(つち)祭り、地祭り、地祝いとも呼ばれます。
氏神様と呼ばれる土地の神様に、その地の使用許可をいただき、工事の安全を願う祭事です。また今までその土地に住んでいた悪しき『気』を追い払い、良い『神様』を招き入れるものです。
家を建てる際には必ず行うべき行事です。
家の知識:新築編 [ 基礎 ]
確認申請が許可されるといよいよ工事着工です。まずは家をしっかりと支える鉄筋コンクリートの基礎工事です。(地盤改良工事がある場合は基礎工事の前の施工です)
1990年代後半から防湿性のメリットや不同沈下に対する耐久性、耐震性を考慮してベタ基礎と呼ばれる基礎が木造軸組工法にも採用されるようになりました。
ベタ基礎は不同沈下に対して有効的ではありますが、地盤の地耐力が均等でないと不同沈下が生じる場合があるので地盤調査の大切さがこのあたりにもうかがうことがことができます。
ベタ基礎の寸法は立上りの幅を120mm以上、底板の厚さを150mm以上とし、立上りの高さを地面から400mm以上を確保します(建築基準法最低値)。
基礎が完成したら建て方までは約2週間の養生期間が必要です。型枠を取り外してすぐに建て方を行っている建売現場をよく見かけますが、コンクリート強度が出ていない時に荷重をかけると基礎にクラック(ひび割れ)が生じる原因となります。しっかりと養生期間をとることはとても大切です。
家の知識:新築編 [ 建て方 ]
基礎工事が終わり一定の養生期間を置いたらいよいよ建て方です。昨今の材木の加工事情は価格の面からプレカットと呼ばれる工場加工が主流となってしまいました。建主にとってはコスト削減は大きなメリットですが、伝統的な加工作業ができる職人が減ってしまったことは日本の文化から考えると大きなマイナスではないでしょうか?昔の大工さんは全ての材料を手刻みで加工していました。自分で刻むことによって全ての材料が頭に入り材木同士の摩擦接合を考慮した加工も可能でした。現在のプレカット
は強度は金物に頼ることになりますので、材木の摩擦接合等も考慮されていません。
日本の伝統建築は金物に頼らず、材木の特性を生かしたものであってもらいたいものです。
当社が新築工事で使用する土台や柱の材料は、耐久性を考慮し基本的に『国産桧』です。
梁材は曲げに強い米松の乾燥材を使用します。構造材は乾燥収縮すると金物の緩みが生じますので狂いの少ない乾燥材を使用することをお勧めします。
土台敷きが終わると1階から順に建て込んでいき、最後の小屋組で完成となります。
家の知識:新築編 [ 屋根~仕上げ工事 ]
棟上げが終わると順を追って、屋根、外壁、内部造作へと進みます。
屋根はもちろんのこと、窓回りや外壁貫通部の防水処理も重要です。また昨今断熱方法も重視されるようになり、いろいろある断熱施工法にも注意が必要です。外壁や内壁も極力ひび割れが生じないようにきっちりとした施工方法で仕上げていきます。見た目は後からどうにでも変更可能ですが、肝心の見えない部分に配慮した家づくりが大切だと考えています。
家の知識:新築編 [ 検査 ]
住宅の新築に関する検査は、行政の行うものと瑕疵担保履行法(平成21年10月施行)による保険会社が行うものの2通りがあります。行政の行う検査は、棟上げ後金物施工が行われた後の『中間検査』と建物が完成した時点で行われる『完了検査』があります。また保険会社が行うものとして、基礎鉄筋施工後の『基礎配筋検査』と行政中間検査時と同時期に行う『躯体検査』があります。
ダブル検査で合計4回の検査を受けることになりましたが、決して欠陥工事が減ったと安心できる状況ではありません。行政の検査は建築基準法に基づいた設計で確認申請通りに施工されているかのチェックで、細かいところまではチェックされません。(例えばアンカーボルトの位置のチェック等)また保険会社は基本的に設計に基づいたチェックで瑕疵に繋がる問題がないかのチェックであります。実際に全てにおいて的確な施工がされているかのチェックではありませんので、工事進行中の施工不良等までは確認されません。そういう現状から、最近では新築工事の進捗状況の検査依頼も増えているのが現状です。現状の新築住宅でよく問題になっていることは、地盤の不同沈下による基礎や外壁へのクラックの発生、防水施工不良による雨漏りが多いようです。
やはり法律が変わっても検査項目が増えても、いい加減な業者が施工した住宅は何らかの問題があるようです。ここでも建主自らの『見る目』が必要になってきます。
知識を身に付けてまずは業者選びからスタートして下さい。